元オリーブ少女のサバイバル大作戦

人生の禍福の縄をあざなってきた元オリーブ少女の日常の中の非日常。現在鋭意在宅勤務中。

「女たちのジハード」篠田節子/最近読んだ本

2015年2冊目。

こういう「OLもの」はあまり読まないけれど、たまたま読んでみました。

しかし、結構おもしろかった。読み進めると人間の多面性、表の顔、裏の顔に裏切られる感じが快感に思えたというか。「こうくるのね。」という意外性にはまりました。

ただ、私は紗織がどうなるのかなーと気になって読んでいたのですけれども、紗織パートの結末につながる話がちょっとやっつけ仕事的な雰囲気を感じてしまい残念でした。

「乙畑法華」って名前の日本人が出てきたり(しかも、寺の家系とか言っていたのに実は巨大ホテルの御曹司だったという展開も疑問であった)、紗織が英語やアメリカに興味を持ったきっかけが大使館の近くで生まれ育ちアメリカが身近だったことがだったというのもあまりにも急に出てきて「あれ、世田谷区出身だったはずでは・・・」と、いろいろ疑問が湧いてしまってあまりのめりこめなかった。

あと、紗織も康子もふらふら歩いて迷子になって気がついたら何か大きなきっかけとなるものに出会っていたという展開が続いたのもややなんだこれ?と思ってしまった要因です。いや、そんな知らん土地でふらふら歩いて迷子になって何かに出会うことってそんなあるかいな?と思ってしまったのです。

でも、OLパートはなんかそういうことってあるかもしれないと思わせるリアリティがあった。実際は無いかもしれないけれど、もしかしたらあるのかもって思いました。

だから本当は紗織にはアメリカに行かさずに、日本で勝負して欲しかったというのが本音です。なんか逃げられたように思えてしまった。アメリカに行かせることで。結局紗織みたいなのは日本ではどうしようも道がないということなのだろうか。この本が直木賞を受賞したのが1997年だからいろいろ今とは事情が変わっているのだと思うのですけれど。

それにしても結構時代を感じたというか、今は康子ぐらいの年齢で結婚していない女性も珍しくないし、そもそも一般職のOL自体が今も存在しているのか謎である。なんだかいい時代だなとか思ってしまう。

 

 

女たちのジハード

女たちのジハード